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二オイの原因は「汗+皮脂+細菌」にあり

一方、アポクリン汗腺は、エクリン汗腺と違い、分布している箇所が限られます。脇の下、おへそのまわり、耳の外耳道(穴)、乳輪、局部、肛門などです。これらに共通点があることに気づきませんか? そう、濃い体毛が生える場所です(頭皮は除く)。アポクリン汗腺は男性ホルモンの影響で活発になり、思春期の前後に大きく発達します。

さて、毛穴の中でアポクリン汗腺と隣り合うように突出する「皮脂腺」があります。皮脂腺は体表面上のすべての毛穴に存在し、脂肪分(皮脂)を分泌する器官です。皮脂があるからこそ、肌や髪の毛は潤いを保つことができ、また外敵から身を守ることができるのです。そんな肌を守るバリアともいえる皮脂ですが、エクリン汗腺から出る汗やアポクリン汗腺から出る汗と混ざりあうと、困ったことにニオイの原因となってしまいます。

そのしくみは次の通りです。人間の体には、さまざまな細菌が棲んでおり、その中にはよい働きをするものと悪い働きをするものがいます。健康な皮膚上では「表皮ブドウ球菌」という細菌が勢力を持っています。表皮ブドウ球菌はよい働きをする細菌で、彼らは皮脂と汗を食べて分解し、肌を弱酸性に保ち、よい香りのもととなる脂肪酸を作ります。

しかし「黄色ブドウ球菌」や「真菌」といった悪い働きをする菌が優位になっているときは問題です。彼らが皮脂や汗を食べて作り出す脂肪酸は悪臭を放ち、またアンモニアやインドールなどの不快なニオイとなるのです。この嫌なニオイこそが、体表面から立ちのぼる、いわゆる”体臭”の正体。つまり体臭は、「汗+皮脂+細菌」によって発生するものなのです。

「ボディの二オイ」の原因は細菌! 包み洗いでさっぱり落とす!

「汗臭い」という言葉があるように、汗を「体臭のもと」と考える人は多いようです。実際に、コンサート会場など人ごみの中に入ったりすると、こもったような、すえたニオイがします。しかし、「汗=体臭」なのかというと、そうではありません。その理由をお話する前に、汗についておさらいしておきましょう。

汗はどこから出てくるのでしょうか。この答えは、全身に張り巡らされた「汗腺」です。汗腺は、簡単にいうと水分を蒸発させて、体温を調節する装置です。人間の体温が一定を保てるのは、汗腺の働きのおかげなのです。汗腺は2種類あり、1つを「エクリン汗腺」、もう1つを「アポクリン汗腺」といいます。

汗腺のうち、全身に分布しているのがエクリン汗腺で、その数はなんと1平方センチあたり100個を越えるといわれています。これをザッと計算すると、全身でおよそ200万個にもなります。そんな汗腺から排出される汗の量は、1日約1・5?にもなります。エクリン汗腺から出る汗の成分は99%が水で、残りの1%は塩化ナトリウム、尿素などの塩分類で構成されています。ほぼ水ですから、当然無臭です。つまり、エクリン汗腺から出る汗は体臭そのものにはならないのです。

体臭の3つの発生源とは?

体臭チェックの結果、「ニオイがした」「しなかった」さまざまな答えがあるでしょう。さて、ここで改めて質問をします。「ニオイがした」という人は、いったい体のどこがにおっていたのでしょう。こんな質問をするのには理由があります。じつは体臭には「体表面」「体内」「腸内」という3つの発生源による違いがあるからです。それぞれどんな違いがあるか、簡単にまとめてみましょう。

体表面体臭
汗腺と皮脂腺、細菌によって皮膚上で発生するニオイ。一般的な体臭のこと。ワキガも含む。

体内体臭
体内で発生し、汗や口臭として表に出るニオイ。体内のホルモン異常や生理機能の低下などを原因とし、皮脂の分泌が盛んになったり、活性酸素が発生したりして起こる。

腸内体臭
腸の中で食べ物が分解されたり、発酵したりする際に発生したガスが、体内に吸収されたのち、汗や口臭として出る体臭。便臭や腐敗臭が代表的。

ニオイだけで自分の体臭が、3つのうちのどれに当てはまるかを判断するのは難しいかもしれません。しかし体臭対策をするなら、発生源を正しく見極めることは何より重要になってきます。なぜなら、「体内体臭」の人が「体表面体臭」のケアをしても、効果があらわれないからです。「自分の体臭の種類を見極め、適した消臭法をとり入れること」。これが体臭対策の基本です。

二オイのセルフチェックに挑戦しよう

じつは意外なことに、「自分のニオイを正しく知る」のは簡単ではありません。なぜなら、喚覚は周りの環境に順応しやすいという特性があるからです。たとえば、夏、電車に乗った時のことを思い出してください。汗臭さでむせそうになった経験があるでしょう。しかし、しばらく我慢を続けているうちに気にならなくなります。

この「気にならなくなる」というのが、喚覚が順応した状態です。脳がわざとフィルターをかけ、感じにくくしているわけです。この現象は自分の体のこオイについても同じです。常に身にまとうニオイを正しく知るには、少しコツがいります。そのコツをふまえたチェック法を紹介しましょう。

①新しいTシャツを用意します。
②Tシャツを直接肌に触れるように着て、1日生活します。
③自宅に帰ってお風呂に入る時、脱いですぐTシャツの脇の部分をかぎます。

脇をかぐのは、一番ニオイが強く残る場所だからです。着ている時にはわからないニオイも、脱いで体から離すことで喚覚がリセットされ、本来のニオイをキャッチできるようになります。

ニオイを気にしすぎる日本人

汗ふきシートに消臭スプレー、汗脇パッド、抗菌防臭肌着…。ドラッグストアに行くと、今や消臭・制汗効果をうたったデオドラント商品が、所狭しと並べられています。それだけ体臭を気にする人が多いという証でしょう。事実、通産省のアンケート調査によると、「自分の口臭・体臭を気にしている」と答えた人は42%にものばっています。これは、「太り過ぎないよう食事には気を使う」と答えた人(38%)よりも多く、いかに現代人が体臭を気にしているかがわかります。

なぜ、そこまで体臭を気にするのでしょうか。これには、1つの仮説があります。高い換気機能を持つ住宅が増えたり、上下水道が発達したりした現代の日本では、炊事のこオイやトイレのニオイなど、社会全体からあらゆる生活臭が薄れてきました。その上、ここ数年は多くの日用品が抗菌・防臭化傾向にあります。たとえばキッチン用の除菌クリーナーにお風呂用の抗菌マット、抗菌洗濯用洗剤などなど…その対象は住環境のすべてにわたっています。するとどうなるでしょう。

まわりのこオイが消えれば、それまで気にもとめていなかった人間の二オイが浮き出てきます。結果として、体臭が気になりだしたのだと考えられるのです。しかし、ニオイがあるのは恥ずかしいことでしょうか。また、そのニオイは、本当に周囲の人に不快感を与えているのでしょうか。「自分は臭い」と思い込み、消臭に熱心になる前に、まずは自分自身の二オイを正しく知り、理解した上で、ニオイの性質に合った対処法を探していくべきだと、私は考えます。

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